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伊藤孝英
カイロプラクティックそのまんまサンシャイン院長
RMIT大学(ロイヤルメルボルン工科大学)日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛という観点から、生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジしてマルチモデルで腰痛ケアをしています。鬱・不安などの気分障害で過度な薬物療法に疑問をお持ちの方もお気軽にお問い合わせください。
そのまんまサンシャイン公式ホームページ
筋骨格系の症状はもとより代替医療のセカンドオピニオンもお気軽に聞きにきてください。https://chirosonomanma.com

多学問領域にまたがった慢性腰痛治療は男性には有効

考える医師と男性患者
目次

男女差のある結果に

慢性腰痛患者に対する集学的治療をする場合、職場復帰という観点において、認知行動療法は軽めのメニューの方が良いという結果が出ているようです。

ランダム化比較試験なので質の高いです。

エビデンスレベル
上から2番目の質の高い研究

■病欠している慢性腰痛患者195名が対象

軽めの※集学的治療プログラム群・徹底的な集学的治療プログラム群・一般医の治療群に割り付けたランダム化比較試験によると、26か月のフォローアップで分かったことは、軽めの集学的治療プログラム群がもっとも有効だった。
※集学的治療プログラムとは多くの学問領域にまたがって治療を行うことです。

http://goo.gl/tiAQaX Skouen JS, Grasdal AL, Haldorsen EM, Ursin H. Relative cost-effectiveness of extensive and light multidisciplinary treatment programs versus treatment as usual for patients with chronic low back pain on long-term sick leave: randomized controlled study. Spine (Phila Pa 1976). 2002 May 1;27(9):901-9; discussion 909-10. doi: 10.1097/00007632-200205010-00002. PMID: 11979157.

この研究では

  • 徹底的な集学的治療プログラム(1日6時間、週5日のペースで行動療法・患者教育・PTによる運動療法)より、
  • 軽めの集学的治療プログラム(PTとナースによる1時間の運動療法・心理学者による恐怖回避行動に関する1時間の講習)のほうが職場復帰に効果があった

それは男性のみで残念ながら女性にはまったく効果がみられませんでした。

女性に対してはさらに疾病行動・家庭環境・職場環境・仕事の満足度といった心理社会的因子への介入が必要と考えられます

なぜか女性には有効とは言えない

不思議ですね。同じ人間のはずなのに、社会的な背景に違いがあるのか?そもそも価値観が違うので治るということに変化があるなんて。よく女性に人気のある先生は、まるで恋人のように「紳士的に接している」といいます。

私などそのような要素は皆無ですから、ゴリゴリに施術をしているのですが、この結果をみるとちょっと意識を変えた方がいいかも、と思いました。

いっしょう懸命一生懸命、さまざまな方法で治療していても結果は同じなら…

とはいえあくまでも職場復帰に限ったデータということで…

難治性の腰痛への「リエゾン外来」報告

6が月以上は必要な難治性の腰痛治療

痛みリエゾン外来というものがあるようです。それは精神科を含めた複数の科で患者さんを診る外来のようです。

多角的にいろいろな要因を探りながら集学的に治療していくスタンスのようです。

今回ご紹介する研究は岡山大学病院で5年前から、整形外科医、麻酔科医、精神科医、脳神経外科医、歯科麻酔科医、理学療法士、臨床心理士、薬剤師、看護師、ソーシャルワーカーで構成する「痛みリエゾン外来」を開設し、6カ月の治療プログラムを行っているようで、そのプログラムでも難治性の腰痛がある。

上記のような最強プログラムでも難治なのはどんな腰痛なのか?

【初診時の抑うつ強いと痛み遷延する可能性】

甲府市で開かれた第24回日本腰痛学会(9月2、3日)の主題「神経性疼痛のメカニズムと治療」で報告された内容

6カ月のプログラムを経ても、痛みの悪化を訴える症例も一部存在することが分かってきて、こうした治療成績不良につながる危険因子を検討。

初診時の抑うつが強いと痛みが遷延だらだらと長引くする可能性があることが解ったようです。

対象は、同外来のプログラムを受けた難治性慢性腰痛の51例。痛みが軽快あるいは不変となった群37例(72.5%、軽快群)と、悪化した群14例(27.5%、悪化群)に分け、背景因子や疼痛生活障害評価(PDAS)、身体症状のある患者の不安と抑うつ指標(HADS)、破局的思考評価(PCS)、腰痛疾患特異的評価(ODI)の関連を単変量解析で検討。

研究者の鉄永氏は「過去の検討で、初診時に不安の強い患者ではドロップアウトのリスクがあり注意が必要なことは分かっていたが、今回はそれに加えて、抑うつの強い患者では痛みリエゾン外来の治療を経ても痛みが悪化する場合があることが分かった」と結論。

別の検討で、悪化群の患者でも6カ月間に抑うつ傾向は改善していたとして、「もう少し長い期間治療を続けると身体機能評価なども改善してくる可能性がある。難治性慢性腰痛の治療を行う痛みリエゾン外来では、6カ月での効果評価は早過ぎるのかもしれない」との考えを示した。

第24回日本腰痛学会

私の感想ですが、抑鬱傾向の強い方や痛みで攻撃的になっている方は確かに治療をドロップアウトしがちですし、頷ける部分も多いです。

参加型で多角的にアプローチを

どれくらいの頻度でのリエゾン外来への通院かは解りませんが、難治性の慢性腰痛には6か月での効果評価は早すぎるとおもいます。

ここが非常に大切なポイントでもあるのですが、数年間のは考えておく必要があると私は思います。当院の例で申し訳ないのですが、マイオセラピー®を目的として来院なさる方の中には10年以上腰痛がある方も少なくありません。

1か月に1回の来院としても5.6回の施術で腰痛は取れてきません。まずは焦らず1年は診ていく必要があります。

勿論若年層や、腰痛の歴が浅い方はそうでない方もいらっしゃいますが、難治性の方はそのように考えておく必要があります。初診時に30分以上掛けてご説明するのですが、忘れてしまう方もいらっしゃいます。

自らの意思でドロップアウトしてしまうのは仕方ありませんが、治療者側としては初診時にしっかりお伝えする必要があるとおもいます。

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