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伊藤孝英
カイロプラクティックそのまんまサンシャイン院長
RMIT大学(ロイヤルメルボルン工科大学)日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛という観点から、生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジしてマルチモデルで腰痛ケアをしています。鬱・不安などの気分障害で過度な薬物療法に疑問をお持ちの方もお気軽にお問い合わせください。
そのまんまサンシャイン公式ホームページ
筋骨格系の症状はもとより代替医療のセカンドオピニオンもお気軽に聞きにきてください。https://chirosonomanma.com

椎間板の変性は50歳以上で90%超!

座る半スケルトンの高齢男性
目次

椎間板は変性しないほうがオカシイ

とんでもない数値がでました。

50歳以上であると9割以上が椎間板に異常があるというのです。腰痛をきっかけにMRIを撮影して「椎間板に異常がありますね」と言われてしまった方。ご安心ください。

しかも日本の研究ですから、「日本人には当てはまらないかもしれない」とは言わせません。

ほんまかいな?

これは和歌山県立医科大学の寺口 真年氏らによる研究で一般住人を対象としたものです。対象は、Wakayama Spine Studyに参加した21~97歳の一般住民975例(男性:324例、平均67.2歳/女性:651例、平均66.6歳)

【結果】
全脊柱における変性椎間板有病率は、50歳未満で男性71%、女性77%、50歳以上では男女ともに90%超であった。
・各部位における変性椎間板の有病率
頚椎ではC5/6(男性:51.5%、女性:46%)
胸椎ではT6/7(男性:32.4%、女性:37.7%)
腰椎ではL4/5(男性:69.1% 、女性:75.8%)が最も高かった

すべての部位で、年齢および肥満が変性椎間板の存在と関連していた。腰痛は、腰椎において変性椎間板の存在と関連していた。

(Osteoarthritis Cartilage. 2014 Jan)

【考察】
整形外科的な観点での研究だとおもいます。一般住民を対象とした日本の椎間板研究は少ないので貴重な研究ですね。気になるところは、椎間板変性と痛みが関連していたのは腰椎部分でだけであること。

いかようにも表現しようがあるのですが、椎間板変性が痛みの原因であるなら、他の部位でも同じことがおきているていないのは何故でしょうか?

50歳以上の方は7割以上の方が腰痛を訴えているのでしょうか

実はただの加齢現象のひとつ

これらの椎間板変性は加齢とともにだれにでも起こりうることが解かっています。これは1995年の国際腰椎学会でボルボ賞を獲得した論文から主に遺伝的な影響が示唆されています。

つまり白髪やシワと同じく、椎間板も変性していくという説です。若白髪も若い人にありますでしょう。若い人で椎間板の異常があるひとも多くは遺伝情報でそうなているそうです。

椎間板の変性がまったく腰痛と関連が無いとはいいきれませんが、椎間板が変性した後でも腰の機能をあげていくことで腰痛が改善されうることを考えると、あまり椎間板にこだわることは良くないのではないかと思います。最近では椎間板ヘルニアで腰痛がある方は後縦靭帯という組織に問題があるからだという研究もあります。

そして最近では腰部多裂筋の変性、委縮が原因で腰痛が起こっていることが多いことが研究で出て生きています。このことは深部筋の施術を受ければ患者さん自身が実感できます。

すべての腰痛に画像診断は必要か?choosing wisely

少しずつ腰痛に対する画像診断は減ってきているようですが、海外ではじまったchoosing wisely 「賢く選ぼう」運動は海を渡って日本へも入ってきています。

われらが日本カイロプラクターズ協会会長はchoosing wisely Japanの会員で、腰痛にたいしては画像診断は必要なのかということで日経メディカルにインタビューを受けた模様です。

海外ではシステマティックに導入されている国もあるようで、初診時に画像検査が不必要なことが丁寧に説明されるようです。

これは被爆量が増えてしまうことを極力避ける為なのですが、中には患者さん側が画像検査をしてもらわないと不安だというケースも少なくないようで、少しずつ理解していただければといったところでしょうか。参考にしてみてはいかがでしょうか。

チュージングワイズリーの概要

腰痛への早期の画像診断は有害

少しずつギックリ腰への画像診断もされなくなってきている今日この頃ですが、未だに行う医院もあるようです。ぎっくり腰になっても早期に画像診断を行わないことを強くお勧めしています。

早期の腰痛に対するX(エックス)線やコンピューター断層撮影(CT)、核磁気共鳴画像法(MRI)などの画像検査は経過を改善しないだけでなく、有害とする最新の分析結果を発表。


2012年6月4日付の米医学誌「Archivesof Internal Medicine」(電子版)

全米の医師連盟は発症6週間以内の腰痛には画像診断を行わないことを推奨しているが

今回の試算によると これらを順守することで全米で年間約3億ドル(約238億9,000万円)の医療費が削減されるとも報告している。
手術リスク8倍、総医療費5倍になるそうです。そろそろいろんな無駄な医療費を減らしていく時期が近づいている気がします。特権階級の搾取、しかも害のある行為ですから、断るようにしましょう。

世界のガイドラインが否定するルーティーン画像検査

もう7年前になるのでしょうか、世界の腰痛診療ガイドラインや画像診断の協会では、急性腰痛いわゆる「ぎっくり腰」や、発症後1か月~3か月の腰痛(亜急性期の腰痛)へはルーティーンで画像検査はしても意味がないことが指摘されている。いやむしろ画像診断は避けるべきとされている。

なぜか。それは画像診断で骨の変形などが指摘されると、画像が脳裏に焼き付いてしまって予後が悪くなるのが解っているから。

お医者様に脊椎マニピュレーションをしてというのも無理な話ですが、せめてレントゲンを撮らずにいるとは可能なんでないかい?と思う。

■レッドフラッグのない腰痛患者に対するルーチンな早期画像検査にメリットのないことは明らかだが、それを一人の患者に説明するのに30~45分かかるために診療スケジュールが大混乱する。時は金なりが過剰な画像検査の最大の理由。

だからこそ現時点で判明している正確な情報の拡散が必要なのです。ネットで国民を教育できれば説明の手間が省けます。あとは診療報酬の問題をクリアすれば患者にとって最善の腰痛医療が実現します。と、TMS‐Japanの長谷川先生は仰っている。

■腰痛患者421名をX線撮影群と非撮影群に割り付け、9ヶ月間にわたって追跡調査した結果、
非撮影群に比べるとX線撮影群は痛みの持続期間、活動障害、健康状態の成績が悪く、受診回数も多かった。

不安や恐怖は治癒を妨げている。

これらの研究は2000年頃すでに明らかになっています。今日本に腰痛の患者さんが減っていないのは、このような事が判明しているにも関わらず、腰痛→とりあえずレントゲン という一つ覚えが続いているからです。それにはそれなりの理由もあるので、後述します。

■1985年~1995年に発表された腰痛疾患と画像検査に関する論文672件をレビューした結果、画像所見と腰痛との間に関連があるという証拠は見出せなかった。レッドフラッグのない腰痛患者の画像検査は無意味である可能性大。

いいですか、これは1996年に発表されている論文です。

レビューですから先ほどの比較対象試験のような高品質な試験データを672件も集めてきて博士号などの専門家が吟味した結果が、腰痛患者の画像検査は無意味である可能性大、なのです。ぎっくり腰にレントゲンは無意味なのです、というか有害なのです。(被曝するからね)

■5つの異なる職種の男性149名を対象に、1年間にわたってMRIで腰部を観察した結果、椎間板変性と腰痛との関連はない、職種による異常検出率に差はない、調査期間中に13名が腰痛を発症したがMRI所見に変化はないことが判明。

ちなみにMRIも… とほほ。ぎっくり腰にMRIだなんて無駄の塊ですよ。どんな仕事も理想通りにはいかないものだが、少しでも高みに登ろうとする、理想に近づこうとする、近づきたくなる精神状態にしておくことが重要なことだとおもう。

どれくらいの医療費が削減できるのか?

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ニューズウィーク日本語版 2010年4月14日号によると、日本で不必要な腰痛への画像診断を止めることで、

ななんと3.3兆円を削減できる

腰痛患者に対する不必要な画像検査(3.3兆円)。いいですか?皆さん、腰痛の画像診断するともろもろの手術、慢性化の抑止等で3.3兆円が削減できるようなのです。

我々の健康保険料が毎年上がっていってますから…出版されてから6年経過していますが、少しずつ画像診断は減っているような気がします。

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