よく初診時にヴィジュアルアナログスケールで痛みの強さをお伺いします。え?これが良くない??
この良くある痛みのスケールが癌治療においては良くないかも知れない。
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痛みを数値化して指標にすると副作用が増える(癌)
痛みが気になり、生活が脅かされて人々は医療機関を受診する。もちろんある程度の痛みを取り除いていくのが大切なのだが、それとともに機能的な評価に目を向けていくことが重要です。
3か月以上痛みが続く慢性痛になると、いつも痛みのことを考えるようになります。ましてや何十年も痛みを抱えていると痛みに支配されています。
痛みを持っている期間がながければ長いほど、痛みを完全に取り除くのはむつかしくなってきます。それは痛みがその方の生活の一部になっていますし、深い意味で痛みを必要としているからかもしれません。
重要なのは
- 痛みによって、どのような生活動作が阻害されているか?
- 治療により何ができるようになったのか?
痛み止めの薬も時として害になります。
こんな研究があります。
疼痛を5番目のバイタルサインとして日常的に数値化する方法をがんセンターで採用した結果、患者の満足度は向上したものの、オピオイドによる副作用が2倍以上に増加した。
疼痛を最重要視するのは患者の生命を危険にさらすことになる
癌に着目した研究でオピオイド(麻薬系鎮痛薬)の副作用ですから、腰痛など身体の痛みとは直接関係のない研究ですが、参考になる部分はあります。
2021:追記です。臨床上はサラッと痛みの強さを聞きます。そして必ず社会的なストレスが無いかを聞きます。バランスよく状況を確認することがより良いケアに繋がると感じています。