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伊藤孝英
カイロプラクティックそのまんまサンシャイン院長
RMIT大学(ロイヤルメルボルン工科大学)日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛という観点から、生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジしてマルチモデルで腰痛ケアをしています。鬱・不安などの気分障害で過度な薬物療法に疑問をお持ちの方もお気軽にお問い合わせください。
そのまんまサンシャイン公式ホームページ
筋骨格系の症状はもとより代替医療のセカンドオピニオンもお気軽に聞きにきてください。https://chirosonomanma.com

腰痛予防は教育プログラム・運動が優れている

エクササイズする中年男性
目次

エビデンスのある腰痛予防

さて皆さんが本当に知りたい腰痛予防について、エビデンスではどうなっているか見ていきましょう。

エビデンスレベル

またエビデンスに囚われてしまうと俗にいうエビ中(エビデンス中毒で枠外の事を考えられない)エビ固め(エビデンスで頭が固くなって使えない人間)になってしまうので、参考にしつつ注意点なんかも書いておきました。

まず2010年あたりの論文ですと以下のようになっています。

■健常者402名を腹筋強化運動+教育プログラム群と教育プログラム群の2群に割り付けて2年間追跡したRCTによると、両群間の腰痛発症率には差が認められなかったことから、腹筋強化運動は腰痛を予防できないことが判明。

■軍隊内での研究によるとコアの安定化より、簡単な心理社会教育の方が腰痛予防にすぐれてい

臨床をしていて気になるこんな患者さんが過去に

当院に腰痛ケアで来院してくれた方で、過去に何度も腰痛を繰り返しており、コアトレーニングが必要だとういうことでピラティスの個人レッスンを数年受けていた方でした

当然必要な背骨のコントロールが出来ていると思っていましたが、検査をすると基本のコアの動きが身についていませんでした。

得手不得手がありますから、それが絶対に悪いことではりませんし、ピラティスの教室もご商売でやっていらっしゃるので、出来ていないことをあまりしつこく正そうとするのも居心地の良い空間づくりの邪魔になるのも分かります。

ただ腰痛の再発防止を考えた場合、考えなくてはならない問題です。

バランストレーニングをする男性のシルエット
そのコアトレーニング、ほんとに身についてるか?

簡単な心理教育って何かというと、一言で言えば「腰痛はストレスが関わっていることを理解する」ということです。単純に腰の問題だと捉えていると物事の半分しか見ていないことになります。

腰痛予防のメタアナリシス 2016年

メタアナリシスは過去に提出された世界中の論文を、専門家が批判的吟味をして出す厳しい答えです。

2016年に初めて「腰痛予防」という観点でメタアナリシスが行われました。

この論文では5つの答えが出されています。

既存のガイドラインと系統的レビューには、腰痛(LBP)の予防に関する明確な推奨事項がない

そこで有効な腰痛予防を調査するためにを調査。

文献検索により、6133の適格な研究を特定。これらのうち23の公開されたレポート(30,850のユニークな参加者を含む21の異なるランダム化臨床試験)が選択基準を満た。
【結果】

相対リスクとして提示され、
①教育と組み合わせた運動が腰痛エピソードのリスクを低減するという中程度の質のエビデンス(0.55倍)と、病欠に影響がないという質の低いエビデンス( 0.74倍)
②低品質から非常に低品質のエビデンスで、運動だけで腰痛エピソード(0.65 倍)と病欠の使用(0.22倍)の両方のリスクを減らす可能性があることを示唆。
教育のみの場合は腰痛(1.03倍)病欠(0.87倍)に影響がないという中程度から非常に質の低いエビデンス
④バックベルトが腰痛エピソード(1.01倍)または病欠(0.87倍)のリスク低下させないという低品質から非常に低品質のエビデンス。
⑤腰痛に対する靴の中敷きの保護効果がないという低品質のエビデンスがありました(1.01倍)

Steffens D, Maher CG, Pereira LS, Stevens ML, Oliveira VC, Chapple M, Teixeira-Salmela LF, Hancock MJ. Prevention of Low Back Pain: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Intern Med. 2016 Feb;176(2):199-208. doi: 10.1001/jamainternmed.2015.7431. PMID: 26752509.

ご覧のようにこれさえやれば完璧に予防できるということではありませんが、前出の論文のように腰痛教育+運動が一番信頼できて、腰痛リスクが下がる組み合わせであることが分ります。

臨床経験上、注意が必要だと気づいたこと

四つ這いでのバランスをする女性2名
レッスンを受けることは時間数にカウントされるが、動きを理解しているとは別問題

またイスラエルの徴兵制度の中の厳しい訓練を受けている女性が来院したときも、軍隊の中でピラティスなどのコアトレーニングはあるのだそうですが、実際の動きの中でコアの動きが活かされていませんでした。

ぎっくり腰の来院じ、当院で再教育をしたこともあります。

この時は、ぎっくり腰の痛みのコントロールが、その場で理解でき、過去の軍隊での訓練の記憶と繋がり、ようやく意味を体得できた印象でした。

結果的に腰痛はなくなりました。但し言えることはピラティスのトレーニングをしたことがある人は、そうでない方と比べて習得が早いので決して無駄ではありません。

トレーニングを頭で理解して行っているか?身についているか?外見の形、回数をこなしただけか?に分かれます

統計的なデータは形だけを真似して行ったケースでもカウントされています。

私がそのような判別、判断、つなげて考えることに長けているのか、どの臨床家でも理解できていることなのかすら解かりませんが臨床歴が長くなることで見えてきた事実です。

ですからケースバイケースで考えた方が良いと私は思います。少なくとも心理教育だけを受けに来られる方は今のところ当院ではおりません。(当たり前か…)

腰痛を予防するには?とよく質問を受ける。残念ながらカイロプラクティック・アジャストメントだけでは腰痛予防にはならない。ただしアジャストメントを受けていれば次に腰痛になった時に軽くて済む、ということだけは確実に言える。

それでは、予防自体はどうしたら良いか?

個別化した運動療法が腰痛予防に効果的 2020年の論文

スクワットする女性のシルエット
運動だけが腰痛予防

科学的根拠では、そうなっている。

世の中にカイロプラクティックアジャストメントだけで腰痛を予防しているカイロプラクターはいるのかもしれないが、残念ながら私はそのように自信を持って言えない。

むしろ受け身のカイロ治療だけでは予防は出来ないと、来院者にはっきりと伝えています。

今科学的に言えるのは、カイロプラクティックのアジャストメントは腰痛が再発するときの痛みの度合いを下げることができるという事です。

エビデンス~

腰痛の予防法に関する20件のRCT(ランダム化比較試験)を分析した結果、腰痛ベルト・靴の中敷き・人間工学的介入・重量物挙上軽減教育に効果はなく、運動療法のみが腰痛とそれによる欠勤を予防できるという強力かつ一貫性のある証拠を発見。

巷では腰痛を予防する方法が溢れかえっていますが、残念ながら本当に効果があるものは運動以外にないことが判明しました。

とりわけ正しい物の持ち上げ方の指導は腰痛発症率を上昇させる恐れがあるため、腰痛予防ガイドラインでは禁じています。荷物の持ち上げ方ってなんとなく必要そうだけど、あえて指導したらダメのようです

こちらの論文では、週6回の1時間のセッション、個別化した運動プログラムで6か月後、12か月後の状態が、そうでないグループと比べて改善具合が良いみたい。これも勘違いしてほしくないのは「完璧に良くなるわけではない」ということです。

個別化した運動って?

個別化した運動って、いわゆるパーソナルトレーニングですがその方の必要な運動を伝えれるかどうかだと思います。パーソナルトレーナー様は一般的に体力を付ける、筋力を付けるのに特化しています。腰痛に関する運動で個々に見極めるのは、それなりに熟練度が必要ですし、しばらくは機械やAIで代用できないでしょう。

オンラインヨガやストリーミング再生でのレッスンもコロナ窩で飛躍的に拡大しましたが、いまのところ私がおもうに、個別化できないから、対面のレッスンに比べて確実に劣るものだと理解しています。

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