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伊藤孝英
カイロプラクティックそのまんまサンシャイン院長
RMIT大学(ロイヤルメルボルン工科大学)日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛という観点から、生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジしてマルチモデルで腰痛ケアをしています。鬱・不安などの気分障害で過度な薬物療法に疑問をお持ちの方もお気軽にお問い合わせください。
そのまんまサンシャイン公式ホームページ
筋骨格系の症状はもとより代替医療のセカンドオピニオンもお気軽に聞きにきてください。https://chirosonomanma.com

首・背中・腰の痛みと心理的苦痛の併存率、回復率

恐ろしい後ろ姿の男性
苦しみは身体と精神に併存する イメージ
目次

背骨の痛みと精神的苦痛は関連します

頚部や腰部の疼痛と精神的苦痛との相互作用に関する理解は、公衆衛生の観点から重要ですがまだまだ研究は少ない。

スウェーデン・カロリンスカ研究所のKari Paanalahti氏らは、大規模な地域住民を対象とした研究を行ってくれました。

あたまを抱えるアジア女性
こころと背骨のつながり

脊椎痛、つまり背骨に関連する痛み=腰痛、首痛、背中の痛みと心理的苦痛がどれくらいの割合で存在するのか?

そして追跡すると、回復、悪化、どちらか一方から、併存へ移行する率などが調べられた。貴重です。

ストックホルム(スウェーデン)での調査

併存患者の回復率は低い

約2万人への調査でわかった背骨の痛みと精神的苦痛の関係

無作為に抽出したスウェーデン、ストックホルム在住の一般住民1万9,774人(18~84歳)を対象

調査開始時(2002年)および追跡調査時(2007年)に、郵送にてアンケート調査
調査開始時における脊椎痛と精神的苦痛が両方ある率は、女性で11%、男性で4%だった。首痛のみ、腰痛のみ、精神的苦痛のみ いずれも女性のほうが多い

次に調査開始時における単一の症状は

・脊椎痛のみ(首や腰の痛み)の有病率は女性20%、男性14%
・精神的苦痛のみの有病率はそれぞれ女性15%、男性12%

でいずれも女性で高率。

追跡調査時5年後 回復は併存状態だと良くない

・脊椎痛と精神的苦痛が併存していた場合が(女性26%、男性27%)が回復
・脊椎痛のみだった場合(女性41%、男性44%)が回復
・精神的苦痛のみだった場合(女性49%、男性52%)が回復

これをみても分かるように、併存していると回復率が低いのが分かります。

・調査開始時に脊椎痛だけの人のうち

5年後に精神的苦痛も有していたのは女性24%、男性17%

調査開始時に精神的苦痛のみを有していた人のうち

5年後に脊椎痛も有していたのは女性24%、男性20%であった。

『結論】 併存疾患および単一の状態としての脊椎痛および心理的苦痛は、一般集団、特に女性の間で一般的です。併存症は、男性と女性の両方で回復に悪影響を及ぼします。この研究は、一般集団における脊椎の痛みと心理的苦痛との間の双方向の関連を確認している。

(Paanalahti K et al. Spine J. 2013 Nov 18)

色分けして解説

5年間での回復率

研究開始時の状況

脊椎痛(首・背中・腰の痛み)と精神的苦痛が両方抱えているのは市民の中で女性11% 男性4%

脊椎痛のみ(首・背中・腰の痛み)の人は市民の中で 女性20% 男性14%

精神的苦痛のみを抱えていた人は市民の中で女性15% 男性12%

それぞれその中で5年後にどれくらい回復したか

脊椎痛と精神的苦痛が併存していた場合女性26%男性27%が回復

脊椎痛のみ(首・背中・腰の痛みだけの場合)女性41%、男性44%が回復

精神的苦痛のみだった場合
女性49% 男性52%が回復

5年後に併存になった率

調査開始時に脊椎痛だけだった方、すなわち市民の中で首・背中・腰の痛みを訴えていた女性20%、男性14%の内、5年後に精神的苦痛も抱えるよになり(心身両方の痛みを訴えるようになった)のはその中で

 女性24% 

 男性17%

調査開始時に精神的苦痛のみだった人、すなわち市民の中の女性15%、男性12%  が5年後に脊椎痛(首、背中、腰の痛み)も抱えるようになり(心身両方の痛みを訴えるようになった)のはその中で

女性24%

男性20%

そのまんま伊藤

心の痛み、背中の痛みを抱えた後、2割5分近くの方が両方の苦痛を5年後に抱えている現状は大きな問題です。

分けて考えない

私は心身一如の精神を大切にカイロプラクティックケアを行ってきました。いろいろな思い、経験があります。先ず知って欲しいことは心の問題と、身体の問題を分けて考えないほうが良いということです。

人によっては、心の問題を見てほしくない人も居ます。ただ本人の中では、身体の痛みは心の痛みであるということを片隅にでも置いておいて欲しいのです。

腰が壊れている、自分の腰は弱いという信念

腰椎手術予定の患者122名に心理テストを実施し、疼痛・機能障害・就労状況を1年間追跡調査した結果
心理的苦痛(不安や抑うつ)が少ないほうが疼痛改善率も職場復帰率も高かった。
心理的苦痛は慢性腰痛の治療成績を左右する

手術適応になる患者の心理状態が腰椎手術の治療成績に大きな影響を与えることが明らかになったわけですが、手術適応の決定は解剖学的考察より心理学的因子のほうが重要である可能性が浮上したことになります。

「こうやって統計で出ていますよ」と書いたところで、痛みですから頭で理解して治るものではありません。地道に解決にむけてリハビリテーションの道を歩むほかありません。

理解しておくと方向性を見失った時に便利です。

心理的苦痛って、さまざまな背景や生い立ち、考え方、現在の状況、未来への展望、夢と現実の兼ね合い、理想、感性、などみんな置かれている状況が違うものです。過去のつらい経験、親御さんにしっかり甘えられなかった状況なども関わってきます。非常に奥の深い問題です。

だから簡単には変わらないし、もしかすると変える必要のないことかもしれない。

けれど痛みや現状をなんとか、すこしずつでも変えていくことが生きるヒントに繋がると思いますし、人類が進む方向であろうと思います。

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